人間関係が不和だったCさん*50代女性

50代前半の女性Cさんは、母との関係の改善を求めてカウンセリングに来られました。

話を聞いてみると、「父が他界した8年前から我の強い母と同居が始まった。いくら注意しても、母は台所や開いたタンスの引き出しに衣服や下着を吊るし、皮肉やぼやきを言う。
それで母娘げんかが絶えず、腹立ちのあまり、せっかく母が料理してくれた食事をとれず、母の手作りのブラウスを着られない。
そして、イライラして夫に当たり散らし、そのせいかどうかわからないが、夫は勤務先の女性と浮気をして同棲した。
ついに2年前に彼と離婚したが、いまだに結婚指輪を指からはずせない」など、母への怒りと元夫への未練を語りました。

そこで、カウンセラーはCさんに記録内観(母との関係で、「世話になったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」のエピソードを毎日記録すること)を勧め、母に世話になったときは「ありがとう」と言葉に出すようにと助言しました。
Cさんは3カ月間、ほぼ毎日記録内観を続け、カウンセリングでその報告をしました。

その結果、Cさんは母と適切な心理的距離をとり、母の言動にいちいち腹を立てなくなりしました。それにつれて母もBさんの注意を聞き入れて、台所やタンスの引き出しに衣服などを吊るさなくなり、皮肉やぼやきを言うことも減りました。
また、Cさんが「ありがとう」と口にするようになると、母もBさんの好意に対して、素直に「ありがとう」と言葉に出すようになりました。
そして、Cさんも母の作った料理を食べ、母手作りのブラウスを着られるようになり、母娘げんかは少なくなりました。そして、結婚指輪をはずして川に流し、元夫との別れを現実のものとして受け入れました。

 

まとめ

カウンセリングはわずか4回でしたが、記録内観の導入が3か月という短期間で、母との葛藤を解消し、副次的な効果として元夫への未練を解消したものと思われます。